富士フイルムホールディングス

社外取締役座談会

富士フイルムホールディングスは、取締役会における社外取締役の専門性?経験に裏打ちされた活発な議論の提起やモニタリングによって、取締役会の意思決定の透明性を確保しています。今回は当社の「指名報酬委員会」「社外取締役の役割」「リスク管理?コンプライアンス」「取締役会での議論」「ESG」の5つのテーマについて、社外取締役に話を聞きました。

回答者: 川田取締役、北村取締役

2018年6月に取締役会の諮問機関として任意の指名報酬委員会を設置してから1年以上が経ちましたが、委員会でどのように議論を進めてこられましたか?

川田 指名報酬委員会は、CEO後継者の指名と報酬決定に関するプロセスの透明性を確保するものです。その役割を果たすため、仕組みづくりなどの外形的な面と、議論の内容の、双方の充実を目指して当委員会を運営してきました。議論の充実という面では、社外取締役としてステークホルダーの視点に立って議論しました。

指名報酬委員会で議論された、CEOのサクセッションプランの考え方について教えてください。

川田 経営者は、短期的な業績の達成だけでなく、数字では測れない企業の人材力や開発力、あるいは変化への対応力など、中長期的な視点で企業が成長するために必要な資産を重視します。企業にはそれぞれ異なる歴史や文化がありますので、CEOのサクセッションプランも、それらを踏まえて策定すべきものです。富士フイルムは、この20年ほどでデジタル化という経営環境の激変を受け、写真フィルムの会社から業態転換を成し遂げ、ヘルスケアや高機能材料など、幅広い事業を展開する今の姿へと発展してきました。そうした歴史やプロセスを参考にしながら、今後どう経営していくのかという方向付けの中で、サクセッションプランもしっかり考える必要があると思います。

北村 次期CEOの人材要件をどう設定するかも、企業の歴史や文化を反映したものとなり、独自性が非常に強く表れます。当委員会で合意したCEO候補者の人材要件にも、富士フイルムグループの歴史や文化がよく表れていると思います。

川田 設定した人材要件に基づき、次期CEO候補者について議論しましたが、古森会長からは候補者の情報がしっかりとインプットされました。その情報をベースにして、適切な議論を行い、ステークホルダーの視点での透明性?客観性?妥当性をきちんと示すということが果たすべき役割だと考えています。

北村 社外取締役は、その会社の事業を言葉で理解はしていても自身の“体感”としてはわからないものですし、社内の人材を深く知っているわけでもありません。各候補者と一緒に仕事をしてきた古森会長から経営者の視点で、経歴、能力や実績に加え、人格や将来的なポテンシャルなどに関しても率直で中身の濃い情報を得られたことは、審議する上で非常に有意義でした。

CEOの後継者に限らず、人材育成という観点で、当社に対する期待をお聞かせください。

川田 まず、“人材は育てるものではなく、育つもの”という考え方が人材育成の基本だと思います。“経営者を目指す”となれば、いろいろなチャンスをどのように生かし、どう能力を発揮していくか、自分自身でつかみとっていかねばならないものです。ただ、富士フイルムグループには本業消失の危機に際して業態転換を成し遂げた貴重な経験があります。ここで得られたことを、社員に浸透?伝承させていくことが富士フイルムグループの人材育成の強みになると考えます。なぜ変えることができ、今日の発展につながったのか。そこに次の経営に生かせるものがたくさんあると思うんです。今後会社の状況が良くなってきてから入社した人の割合が多くなってくれば、今の状態が当然だという前提で、危機感や緊張感が薄れてくるでしょう。新しい世代の従業員にも日々の業務や研修などを通じて、経験から得られたことをしっかりと引き継ぎ生かしてほしいですね。

川田 達男 氏

セーレン(株)代表取締役会長

総合繊維メーカーにおける経営者として、ビジネスモデルの転換、イノベーションの創出、組織改革などを実現してきた豊富な経験と高い見識を有する。当社の指名報酬委員会の委員長を務める。

指名報酬委員会の中のもう一つのテーマである報酬設計についてお聞かせください。

北村 報酬設計は、客観性?透明性の高いものになっています。富士フイルムの報酬設計は、元々職位が上がるに従って、ストックオプションという業績に連動した報酬の比率が高まる設計になっていましたが、金銭報酬についての業績連動のKPIや報酬の変動幅などについても、他社情報を参考にしつつ、今回社内で改めて議論されました。その報酬設計案を私たちも委員会でしっかりと審議してきました。今後の課題は、中長期的な業績連動をどう考えるのかということです。中長期的な業績向上につながるような目標との連動性を高めるなど、現在のストックオプションに代わるような報酬を検討する余地があると思います。

北村 邦太郎 氏

三井住友信託銀行(株)取締役会長

大手金融機関のトップとして、金融?財務?資本市場における豊富な経験と高い見識を有する。当社の指名報酬委員会の委員を務める。

川田 報酬は、過去には成果に対する対価もしくは処遇という位置付けだったものが、現在では企業の価値向上のためのインセンティブとしての要素が強くなっています。業界の状況や会社の位置付け、あるいはビジネスモデルや企業文化などを総合的に勘案し、当社が目指す中長期的な企業価値向上を後押しするインセンティブとなるよう、今後も報酬のあり方を委員会で審議していきます。

回答者: 貝阿彌取締役

取締役会における社外取締役による監督機能の現状についてお聞かせください。

貝阿彌 取締役会での議論では、社外取締役それぞれが自身の知識や経験をもとに、さまざまな角度から発言しています。川田さんは企業経営者として、北村さんは金融機関のトップとして、また昨年就任した江田さんは豊富な国際経験や企業経営者としての経験を基に質問や意見を述べ、議論に深みを与えています。法曹界出身の私は、コンプライアンスやガバナンス、あるいは法的事項、契約などに注視して発言することが役割だと認識し、議論に参加しています。

貝阿彌 誠 氏

弁護士 大手町法律事務所

東京高等裁判所部総括判事、東京地方裁判所長などの要職を歴任し、裁判官として長年培ってきた豊富な経験と高い見識を有する。

社外取締役の監督機能をより強化するために、期待することはありますか?

貝阿彌 社外取締役として、外部の視点から疑問を抱いたら、それを率直に投げかけるように心掛けています。しかし、判断を覆すほどの疑問を感じる案件は今のところなく、取締役会に議題として上がる前に経営会議等で十分な議論がなされていると感じています。あえて言うならば、現在も社外役員の理解促進を目的とした取締役会議案の事前説明が非常に丁寧に行われていますが、社内での検討プロセスやその議論における異なる意見といった情報をさらに充実させてほしいと考えます。それが、さまざまな角度からの内容の検証に資すると思うからです。

回答者: 貝阿彌取締役

当社のリスク管理?コンプライアンスへの取り組みをどのように評価されていますか。

貝阿彌 当社は、2017年に出来した富士ゼロックスの海外子会社による不適切な会計処理の問題を契機にガバナンス強化委員会を作り、迅速にガバナンスを強化してきました。取り組みの現状については、取締役会で定期報告を受けており、強化した仕組みが適正に運用されていることを評価しています。中でも大きな役割を果たしていると思うのは、海外を含めたすべてのグループ従業員が直接本社に通報できる23言語に対応したホットラインを開設し、内部通報制度を充実させたことです。内部通報の件数や内容、また通報内容の中に重大案件につながるリスクが含まれていないかという点について、取締役会で定期報告を受け、問題が無いことを確認しています。今後も内部通報制度をきちんと機能させることが重要です。富士フイルムグループには、内部通報によって不利益は受けない、という明確な指針がありますので、その指針を従業員にさらに周知徹底して、安心して制度を利用できるようにしてほしいと思います。また新たな取り組みの1つとして、メールから不適切なやりとりがないかを自動で抽出するシステムの自社開発があります。独自に開発したAIに社内用語を学ばせることができるため、問題抽出の質と量が高まる点が特長で、モニタリング機能の強化の仕組みとして期待しています。

回答者: 江田取締役

江田取締役は、就任から1年が経ちましたが、取締役会での議論をどう評価されているかをお聞かせいただけますか。

江田 当社の取締役会では、会議に参加するメンバー全員が質問や意見を躊躇することなくぶつけ合うことで、議論を深めています。私も社外の視点でさまざまな角度から質問していますが、議論を深めるためのオポチュニティーだと前向きに理解され、丁寧な説明を受けています。私はこのような議論の進め方には、富士フイルムグループの企業文化の特長が表れていると思います。他の社外取締役もさまざまな経験や専門性を背景に発言され、お互いの発言から新たな観点での質問が生まれるなど、議論の拡がりにつながっています。

回答者: 江田取締役

当社のESGの取り組みをどのように評価されているかお聞かせください。

江田 当社のESGの特長は、“事業を通じて社会課題を解決し新たな価値を社会に提供する”という考えに基づき、CSRやESGが注目される前から継続して実践してきたことだと思います。社会課題の解決には政府や国際連合などの国際機関、NGOなどさまざまな機関が取り組んでいますが、企業の取り組みには社会への影響の大きさと、貢献の継続性を期待できます。企業側も社会課題の解決を事業機会ととらえて自らの事業成長につなげることができるでしょう。当社の2030年をターゲットにした長期CSR計画「SVP2030」は、SDGsと事業との関係性も明確に示された優れた取り組みだと思います。そのアクションプランとして中期経営計画「VISION2019」を位置付け、全社を挙げて実践していますが、取り組みをより進展させるための課題が明確になっており、ESGに取り組む強い意志を感じています。

江田 麻季子 氏

一般社団法人 世界経済フォーラムJapan 日本代表

グローバル企業の経営者としての経験や現職を通じ、豊富な国際経験と高い見識を有する。

?ESGに関するグローバルな動向と、その中で当社のESGをさらに発展させるために期待することをお聞かせください。

江田 2019年1月、私が日本代表を務めている「世界経済フォーラム」が主催する「ダボス会議」に参加しましたが、“社会で起きているさまざまな課題に対して、どのように貢献するのか”といった自社のビジョンや活動を明確にし、積極的に発信している企業が、欧米を中心に増えてきていると感じました。また、環境問題を中心に社会課題の解決に向けて、国や業種の垣根を越えて協業し、共にその解決を模索する企業が目立ちました。

今後、富士フイルムグループがグローバル企業としてさらに成長するためには、これまで以上に自社のビジョンや提供する価値を明確に発信することで、世界中の株主やお客さま、パートナー企業などの賛同者を増やし、共感を得ることが大切だと思っています。富士フイルムグループが元々持っているフィロソフィー、強いカルチャー、DNAを、できれば数値化した裏付けを交えたストーリーで、もっと積極的に伝えるべきだと思います。それは、社会からの“もっと応援したい、一緒に活動したい”という共感の獲得につながります。さらに自社の事業が社会課題の解決に貢献していることで、従業員のコミットメントも増してくる。そういう良い循環が生まれ、持続性が高まることを期待しています。

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